知的所有権のイロハを学ぶなら、林田学「知的所有権の訴訟戦略」
知的所有権というと現代においてとても重要だけどとても難しいというイメージがあります。 そんな中で林田学さんのこの本は「『歯磨剤』や『黒ラベル』論争等に学ぶ」と副題にあるように 具体例をとおして知的所有権が学べるとてもよい本です。 「本書は他社との競合に打ち勝つために、知的所有権法(特許・実用新案・商標・意匠・著作権)や 競争法(不正競争防止法、独占禁止法)、さらには、企業秘密管理・競業避止契約・秘密保持契約を いかに駆使すればよいか、その法的戦略を説明するものである。 本書の特色は2つある。 第1は、これまでバラバラに説明されることの多かった知的所有権法と競争法を有機的に結びつけた 点である。その理論的視座は、すでに田村善之『不正競争法概説』(有斐閣、1994年−出色の名著である) が提供しているが、企業実務的視点からみれば、「他社との競争に打ち勝つ」という目的のために 必然的に結びつくものであろう。 つまり、ビジネスの世界は画期的な商品を開発すればそれで儲かるというものではない。 同じような商品がすぐ登場したり、ノウハウが洩れたり、会社の中から飛び出した者が同じようなビジネスを 展開したのでは意味がない。また、マーケティング(流通やプロモーション)をうまく展開しないと、 エンドユーザーによい商品があることを知ってはもらえない。 このように知的所有権法、競争法、競業避止契約・秘密保持契約は、 「よい商品を守り、伸ばす」という目的に不可欠な法的ノウハウである。 第2は、企業実務的視点から説明している点である。 法律家の書く本は、法律の方から見て、この法律はどういう法律で、どういう条文や判例があって、 と説明するものが多い。しかし、企業実務家はいつも事例から考える。 自分が直面している事例に、どういう法律がどう絡んできて、どう解決されるのか。 この事例からの発想が企業実務家の発想であり、本書はなるべくそれに応えるような組立てをしている。」 林田学さんは、はしがきで以上のように述べています。 また、本書の特徴はこう書かれています。 「ビジネスの世界は、画期的商品を開発すればそれで儲かるというものではない。 類似の商品がすぐ出てきたり、ノウハウが洩れたり、会社を辞めて同じようなビジネスを展開する者が 現れたりするからである。 このような障害をできるかぎり排除し、「よい商品を守り伸ばす」という目的に不可欠な法的ノウハウが、 知的所有権法であり競争法であり、さらに企業秘密管理・競業避止契約・秘密保持契約なのである。 本書は、これまでバラバラに説明されることの多かった知的所有権法と競争法を有機的に結びつけて 説明しただけでなく、この問題には、どういう法律がどう絡んできてどう解決されるのかという、 実務家の視点に立って構成し、必要に応じて著名な事件を例にあげ具体的に解説したものである。」 林田学さんの野心的な取り組みがよく現れたいい本だと思います。
